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ペット信託に注目 新たな飼い主へ「遺産相続」

ペット信託に注目
新たな飼い主へ「遺産相続」


 高齢化が進む中、自分の死後、ペットがどうなるのかを心配する人は多い。対策の一つとして考え出されたのが「ペット信託」という方法だ。ペットのために確実に財産を残す方法として注目を集めている。(油原聡子)


飼育状況チェック
 
犬7頭と暮らす福岡県の80代の女性は7月
ペット信託を行った。女性には子供が2人いるが、ペット信託を使えば相続財産と分けておくことができるため、トラブルを防げると考えたからだ。女性は「7頭の飼育にかかる費用は月約2万円。長女が面倒を見てくれることになっているが、金銭的に迷惑をかけないため、信託することに決めた」と話す。

 女性が死亡したり、入院して飼育ができなくなると信託が始まり、犬たちは長女のもとへ行く。長女には月々の飼育費用が信託口座から支払われるという。

 長女は「1人暮らしの母にとって犬たちは家族も同然。信託をしたことで犬たちの生活が保障され、安心しています」と話す。

 ペット信託は、信託法に基づいて行われる。まずは飼い主を代表にした合同会社を設立し、ペットに残したい財産を事前に合同会社に移しておく。次に、飼い主と合同会社が信託契約を結び、新たな飼い主も決めておく。飼い主が亡くなるなど万が一の時に備え、信託開始の条件を設定。信託が始まると、合同会社に預け入れた財産が飼育費として新たな飼い主に渡る。

 信託監督人を置いて、飼育費が適正に使われているかやペットがきちんと飼育されているかをチェックすることもできる。適正に飼育されていない場合、支払い中止やほかの飼い主のもとにペットが行くように契約を結んでおけばさらに安心できる。


トラブル回避
 ペット専門の行政書士、服部薫さんによると、信託以外にペットにお金を残す方法としては、遺言書を作成し、飼育を条件に財産を譲る「負担付遺贈」がある。ただ、民法では、一部の相続人が最低限相続できる財産が保証されている。このため、遺言書に記すだけでは相続争いに巻き込まれ、ペットのために遺産が使われないこともある。

 「相続財産とは別に管理されるペット信託ならば、トラブルを回避して確実にペットのために財産を残すことができます」と服部さんはいう。

 服部さんは今年9月、ペット信託の普及活動を行う団体「ファミリーアニマル支援協会」((電)092・775・0418)を設立した。ペット信託に詳しい行政書士ら専門家の育成も行って行く予定で、10月5日には、都内でセミナーを開いた。

 高齢化が進む中、ペット信託への関心は高まっており、月に20~30件の問い合わせがあるという。ただ、新しい飼い主が見つけられず、信託を断念する人も多いのが実情という。同協会では今後、動物愛護団体などとも協力し、新たな預け先の確保にも努めていくという。

 服部さんは、「飼い主の死後、残されたペットが殺処分されることも多い。ペットが穏やかで幸せな生活を過ごせるようにサポートしていきたい」と話している。




飼い主もペットも高齢化
 ペット信託への関心が高まる背景には、飼い主とペット双方の高齢化がある。

 ペットフード協会の「平成25年度全国犬・猫飼育実態調査」によると、犬の飼育率が最も高いのが50代(20%)。次いで、60代(16.4%)だった。猫でも、50代(11.8%)と60代(10.9%)だった。

 犬や猫の寿命も延びている。22年度に犬の平均寿命は13.9歳だったが、25年度には14.2歳に、猫は同14.4歳だったのが同15歳に延びた。

2014年10月16日 産経新聞 東京朝刊



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